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シングルサイドマウントはありなのか?

加藤大典ブログ

先日、サイドマウントのトレーニングのブログで、シングルサイドマウントダイビングについてすこし書きました。
北陸 越前 TDIサイドマウントダイバーコース

このシングルサイドマウントダイビングについて、すこしお話ししておこうと思います。
サイドマウントを誤解してほしくないですし、どういう意図で行っているかも知ってほしいと思いました。


そもそもシングルサイドマウントはテクニカルダイビングではない。
テクニカルダイビングの定義は一言ではいえませんが、呼吸源のリダンダンシー(バックアップ性)が常です。
つまり、二つのシリンダーにそれぞれのファーストステージとセカンドステージをもつことが最低条件です。
したがって、シングルサイドマウントはテクニカルの範囲外です。よってTDIの範囲ではなく、SDIの範囲と考えると分かりやすいと思います。

サイドマウントは万能ではない。
サイドマウントは、決して万能な器材コンフィギュレーションではありません。もともと洞窟ダイビングの分野で産み出された器材コンフィグです。海洋で使用するには注意が必要です。すこしでも波が高いとエントリーエキジットはたいへんですし、器材装着には時間がかかるのですばやく潜り始めることはできません。
よって、条件の合わないコンディションの場合は、サイドマウントではなく、バックマウントが適しています。



なぜシングルサイドマウントを行うのか?
テクニカルダイビングとしてナンセンスと言えるシングルサイドマウントを体験してもらうのか?
これにはいくつかの理由があります。

シングルサイドマウントをトレーニングメニューとして、必要な場面で用いる理由の1つめは、左右バランスを天秤のように均等に整える感覚が必要なサイドマウント。シングルサイドマウントで、片方にシリンダーがない状態から、どのようにバランスを整えるのか体験することができます。もちろん満充填された重たいシリンダーからガスを消費して、軽いシリンダーになっていく過程で、どれだけ、ウエイトが変化していくのかがよく理解できます。また左右のバランスの補正を体幹を活用する感覚も磨かれます。

次に2つめの理由は、私のところで、サイドマウントダイバーコースを受講するみなさんは、将来、ケーブやレックのペネトレーション(内部侵入)ダイビングを目指している方たちが多いです。その夢を叶えるためには、サイドマウントに慣れるために、普段からサイドマウントを使用することが好ましいです。つまり普段のレクリエーショナルのファンダイブの時もサイドマウントを活用することを薦めています。(もちろんシングルバックマウントダイバーと器材装着などのタイミングが異なるため、そのあたりもどうするのかお伝えもしています。) サイドマウントは万能ではないため、海況によって、器材を切り替えなくてはなれません。もちろん、バックマウントに切り替えすることもひとつの選択肢(確実にこのような状況の場合はバックマウントがお勧め)ですが、シングルサイドマウントであれば、装備が軽装になるため、時間制限がある場合や海況が思わしくない場合にも対応できます。
リダンダンシー性のあるダブルサイドマウントの利点を失うことになりますが、レクリエーショナルダイビングであれば、通常のダイビング器材とシリンダーの位置が変わるだけで、そのほかの違いはありません。またevisのガイド陣もサイドマウントダイバーの扱いを心得ているため、サイドマウントトレーニングをしっかりサポートしています。このようにサイドマウントを可能な限り活用できるように海で遊ぶためには、シングルサイドマウントも理解しておくことに利点があるからです。
また、シングルサイドマウントになると多くの人が、呼吸源が1つしかないことに不安を覚えるようになります。ダブルという事足りた装備を取り扱うようになったことで、シングル装備の欠けた装備について意識し安全について見直すいい機会にもなっているのも事実です。

3つめの理由として、サイドマウントが大好きで、できるかぎりサイドマウントで潜りたいという方には、シングルサイドマウントですと、その範囲を広げて活用する機会を増やすこともできます。ただし、場所によっては、慣れないサイドマウントダイバーがさらにアンバランスなシングルサイドマウントを行うことは、不安を感じる場合もあると思いますし、一緒に潜るガイドさんやダイバーが、サイドマウントにおけるレスキュー法を理解している事も必要だと思います。サイドマウントの使用に当たっては、周囲の理解も大切ですね。


written by かとう だいすけ