ダイビングプールってどうなの?
加藤大典ブログ
㈱インターナショナルトレーニングは
自社ダイビングプールがあります。
『ダイビングプール 管理大変ですよね~? 維持費とか~』
とよく聞かれます。
なぜプールを作ったのか、
作ってみてどうだったのか?
プール管理で学んだことや
プール利用のみなさまに知ってほしいことを
書いてみたいと思います。
なぜダイビングプールを作ったのか?
一番の理由はずっとダイビングプールのある環境で育ったということがあります。
大学の潜水部でも卒業後に勤めた大手ダイビングショップもダイビングプールを自由に使えました。
ダイビングショップを2000年にオープンしましたが、
やはりコンファインドウォータートレーニングはプールで行うのがベストだと考えていましたので、
車で20分かけてダイビングプールを借りて講習を行っていました。
プールは大切であるが、自由に使えないことはとても不便でした。
そのような経験もあるので、プールを利用してくれているダイビングショップさんにはできるかぎりの心配りをしたいと思っておりダイビングメーカーさんが提供していただいてるモニター器材を貸し出すことで、搬入する荷物の負担が少なくなるようにしています。
5年ほど土地を探して、2006年に名古屋市内にダイビングプールを建設しました。
ではなぜダイビングプールを作ったのか?
ダイビングスクールのコストを削減し、少しでも安価にダイバーを育てたいまたは安くダイバーになりたいという考え方もあると思います。それもひとつの選択肢です。
確かにプールがなくてもダイビング講習はできるのですが、
安全に快適に安心してダイビングを続けてもらうには、
じっくり確実にスキルを身につけてもらうには、大切なことをきちんと伝えるためには、
私個人の考え方として、それがコストではあるが良いダイバーを育てるためには
ダイビングプールが必要不可欠だと考えています。
どんなスポーツも同じだと思いますが、
基礎がしっかりしているとその後の上達はとても早いです。
またどんどん楽しくなりますし、快適さや安全性にもつながります。
だけどなかなかプールなんて作れないよ。
と言われます。
その通りです。
プールを作るのは覚悟がいります。
それでも作ったのは、
仕事としての達成感、満足感といいますか、
私はダイバーがきちんとダイビングを覚えて、
楽しんでいる姿をみるととてもうれしい気持ちになります。
ダイビングプールがあることでみんなに喜んでもらえるイメージにワクワクしました。
これが原動力だったと思います。
ここで掲載しているプールの写真は、
仲良くしている水中写真家の古見きゅうさんに建設して1年後に撮ってもらいました。
ダイビングプールの管理について
まず始めに利用者のみなさんに伝えたいのは、
『体と器材をきれいにしてからプールに入ってほしい』
ということです。
たぶん自分の家のお風呂でもみんなが使う温泉でも身体を洗ってから入浴すると思います。
プールもそれと同じように考えてみてほしいです。
ダイビングプール入水前には体と器材を清めてから入ってほしいのです。
日々のメンテナンスでプール管理担当者がとても清潔なプール環境を整えてくれています。
長年プール運営してきて、はじめの頃はノウハウがなかったので、失敗して透明度の悪いコンディションになってしまったときもよくありました。
いまは、プール管理方法が確立し、日々のメンテナンス担当者がさぼらなければ、きれいな状態を維持しています。現在メンテナンスを担当しているスタッフはきちんとさぼらずやってくれているのでとてもきれいな状態を維持してくれています。担当スタッフには、「海の透明度が悪いのは自然現象だから受け入れるべきものだ。しかしダイビングプールは人工的にコントロールできるものだから、日々管理を徹底することで実現すべきミッションだよ」と伝えています。
プールを汚すものは、目に見えるゴミと目に見えないゴミ、そして雑菌があります。
目に見えるゴミとは、髪の毛、砂、器材などから剥離したものなど。
目に見えないゴミとは、人や器材からでる、油分、皮脂、そして雑菌です。
目に見えるゴミは、掃除機のようにホースで吸い出しています。
毎週学生サークルの子たちが清掃に来てくれています。
1時間掃除してくれたら1時間トレーニングに使ってよいという約束です。
必ず忙しい中、毎週きてくれている名大エターナルブルーや名古屋外語大学スキューバダイビング部のみんなには感謝です。
日々プール担当インストラクターも気にかけて清掃してくれています。
次に目に見えないゴミはどうするのかというと、
これに必要なのは、ろ過装置(フィルター)と塩素と洗浄剤です。
目に見えないゴミは、フィルターではとれません。またプールによごれが戻ってしまいます。
つまり濁ったプールになってしまうのです。
そこで重要なのが、塩素と洗浄剤です。このふたつの効果は、目に見えないゴミを塊にして、
フィルターでとれるサイズにしてくれるのです。
しかしまだ問題があります。
まずは雑菌です。ほとんどの雑菌は、遊離塩素濃度2.0で死滅します。
しかし人体への負担を少なくするために、普段は水道水レベルの遊離塩素濃度にしています。
月曜費が定休日ですので、日曜の夜に遊離塩素濃度2.0まであげて、徹底して殺菌しています。
もうひとつは、人体からでる皮脂などのよごれが残留塩素と結合して、結合残留塩素が発生します。
身体に悪影響なのは、この結合残留塩素です。
結合残留塩素を取り除くには、遊離残留塩素を投入すること。
よって遊離残留塩素濃度を0.4ぐらいに保つことで、結合残留塩素を除去できるのです。
ちなみに結合残留塩素濃度を調べるには、試験管にプール水をいれそらにDPPをいれてしばらく放置したときに液体がピンクが濃くなれば、結合残留塩素量が多いか確認できます。またいわゆるプール塩素臭が強い時も結合残留塩素が多いとも言えます。結合残留塩素の完璧なコントロールは難しいですが、ある程度コントロール可能です。
最後にもう一度なぜ『体と器材をきれいにしてからプールに入ってほしい』のか?
見えない汚れが、プールの水質を悪くします。
プールの塩素が、人体に悪さするのではなく、塩素と身体からでるよごれがくっつくことで、
結合残留塩素が発生するからなのです。
クリーンな状態になって入水することを気にしてくれる方たちのグループのあとプールはあまり濁りませんし、結合残留塩素も発生しにくいです。
ぜひプールに入る前は、ファンデーションや整髪料そして器材の塩分やよごれを
落としてからご利用していただくことで、快適なプール環境を維持しやすくなります。
快適で清潔なプールの運営にご協力をよろしくお願いいたします。
2017年の年末から2018年のお正月にかけて、StreamTrailアンバサダー仲間の洞窟探検家の吉田さんや船と海のスペシャリスト土屋さんなど多くの仲間たちに手伝ってもらいプールの改装工事を行いました。本当に感謝です。
written by かとう だいすけ
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